日本人向けクアラルンプール長期滞在費用はハードルが高い

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クアラルンプールに長期滞在

人口約160万人が暮らすマレーシアの首都クアラルンプール。近郊周辺の都市圏として考えると、その人口は500万人を超えるグローバルシティだ。東南アジアでの経済規模はシンガポール、バンコク、ジャカルタに次ぐ大都市である。

今回はクアラルンプールのロングスティ事情を詳しくご紹介している。この記事を読めばクアラルンプールの歴史から住宅、長期滞在するロングステイヤーが求める情報を得ることができるはず。

クアラルンプールは19世紀には錫の採掘場として多くの中国人がこの地へ移住してきた歴史を持つ。その後、イギリスの植民地時代にも多数の移民を受け入れ、現在はマレー系、中国系、インド系のマレーシア人が民族や宗教の垣根を越えて平和的に共存する非常に稀有な都市でもある。

クアラルンプールの現状

クアラルンプールはグローバルシティにふさわしく高層ビルが立ち並び、地下鉄や高速鉄道などインフラも整備された近代都市で、治安が良く医療も発達している。

ペトロナスツインタワー

1998年に完成した高さ452m、地上88階の超高層ビルで、完成時は世界一の高さを誇ったクアラルンプールのランドマーク。ツインタワー式のビルとしては現在でも世界一だ。地上階にはショッピングモールなど複合施設であるスリア・クアラルンプール・シティ・センターがあり、テナントには伊勢丹や紀伊国屋書店がある。

ペトロナスツインタワーの夜景

KLCC(クアラルンプール・シティ・センター)駅

クアラルンプールの中心にある地下鉄の駅で、ペトロナスツインタワーやスリアショッピングモールの最寄り駅。ペトロナスツインタワー内にあるスリアには伊勢丹や紀伊国屋書店が店を構えており、マンダリンオリエンタルやルネッサンスなどの高級ホテルも近い。

クアラルンプール・シティ・センター駅

KLIAエクスプレス

KLIA(クアラルンプール国際空港)駅とKLCCを結ぶ高速鉄道。空港からKLCCまでノンストップのエクスプレスと途中駅に停車する通勤列車KLIAトランジットが運行されている。KLIAエクスプレス

マレーシア人口の1割近くが外国人

また、マレーシア政府が進めるICT特区「マルチメディア・スーパーコリドー」計画の中心がクアラルンプール周辺であり、ハイテク企業やマルチメディア大学がひしめく新興都市サイバージャヤ、マレーシアの行政機能が移管される予定のプトラジャヤがエリア内にある。F1のマレーシアグランプリが開催されるセバン・サーキットもこのエリアだ。

マレーシア政府はいわゆる出稼ぎに来る外国人労働者や海外からの移住者にとても寛容で、マレーシアの人種別人口のうち1割近くを外国人が占めている。もともと中華系にしろインド系にしろ多くの移民を受け入れてきた歴史が、移住者に対するマレーシアの寛容さを生んでいるのかもしれない。

ロングステイヤーに寛容だが

完全な移住ではなく、長期に滞在するロングステイヤーが多いのもマレーシアの政策によるもので、10年間滞在可能な長期滞在ビザの発給を行っている。それがMM2H(マレーシア・マイセカンドホーム)プログラムと呼ばれるものだ。この制度を利用してクアラルンプールに長期滞在するとその費用はいったいどの程度になるだろうか。

MM2Hを申請するに際して特別な条件はなく、日本人であれば誰でも申請でき、10年後は延長することも可能だ。ただし、MM2Hによるビザの発給には経済的なバックボーンがあることを証明しなければならない。これには50歳未満と50歳以上とで資産金額に違いがあるが、今回は50歳以上での条件をみてみよう。

ステップ1.財産または収入の証明

約1200万円(マレーシアの通貨で35万リンギット)の預金または有価証券などの金融資産を有することの証明に加えて、毎月の収入が約35万円(同1万リンギット)あることの証明が必要。

ステップ2.マレーシアの金融機関に預金

ステップ1の証明により申請の仮承認を受けたら、現地にて資産のうち約500万円(15万リンギット)をマレーシアの金融機関に定期預金として預け入れる。この預金は1年間は引き出すことができず、2年以降にマレーシアでの不動産購入、新車購入、子供の教育費、医療費目的であれば上限5万リンギット(約160万円)まで引き出すことが可能。

クアラルンプールでの長期滞在費用~住居費

MM2Hで長期滞在する場合は?

MM2Hでクアラルンプールに長期滞在する場合、賃貸マンションやコンドミニアムに入居するか、家を購入するかの2択が可能。賃貸はコンドミニアムが主流だが、マレーシア政府の公式ホームページよればクアラルンプール周辺で2000~10000リンギットが相場となる。

コンドミニアムの家賃出典:マレーシア政府観光局ホームページ

民間の不動産情報

民間の不動産情報出典:マレーシア不動産ナビ

バンサー地区はKLCC駅と隣駅ミッドバレーの中間に位置するクアラルンプールの中心、プトラジャヤはハイテク企業がひしめくサイバージャヤの隣、首都機能が移転される予定で今後の発展が期待差あれる新興都市だ。

参考:Googleマップ

Free HoldとLease Hold

賃貸ではなく不動産を購入する場合は2種類の物件があるので注意したい。ひとつは「Free Hold」と呼ばれる普通の売買による物件で、不動産は購入した人の財産となりマレーシア政府による制限は受けない。もうひとつは「Lease Hold」と呼ばれる物件で、土地は政府による貸与という形式をとる。売買にはマレーシア政府による承認が必要で、リース期限は33年、または99年間が一般的だ。

Free HoldとLease Holdの違い出典:JETRO クアラルンプールスタイル

都市部やリゾートの不動産は投資目的のものも多く、全体的に高め。郊外なら100万リンギット以下の物件も期待できるが、100万リンギットは日本円にしておよそ2700万円、物件の広さは日本より格段に広い、が購入価格としては日本の中古市場と大きく変わらない。

3000万円の物件に20年住むとすれば年間150万円、1か月あたり12万5千円となる。投資目的でなければ、購入するよりコンドミニアムを賃貸するほうがリーズナブル。

クアラルンプールの日本人向けの生活用品

クアラルンプール周辺にはIKEAや無印良品、などが出店しており、デザイン家具や雑貨で思い思いのインテリアを楽しむ若い世代も増えている。特に若い世代に人気なのが100円ショップのダイソーで、マレーシアの通貨としては5.3リンギット(約170円)と日本のダイソーよりもかなり高いが、販売している商品はほぼ日本と同じで、日本人の利用者も多い。

デザイン家具と雑貨出典:JETRO クアラルンプールスタイル

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001300/4-housing.pdf

ダイソーの人気商品ベスト5

第5位 電気小物

電気小物

第4位 日本のお菓子

日本のお菓子

第3位 和食器

和食器

第2位 洗濯物を入れるネット

洗濯ネット

第1位 シューズケース

シューズケース

靴ではなく食材や文房具などを入れるのがマレーシア流

出典:ITメディアビジネスオンライン

クアラルンプールでの長期滞在費用~食費

マレー系、中国系、インド系と、もともと多民族からなるマレーシアだが、MM2Hプログラムなど積極的に外国人の長期滞在者を受け入れているため、クアラルンプールには日本をはじめ世界各地から移り住んでくる外国人が多い。そのため、マレーシア料理、広東料理、北京料理、インド料理、これらが合体したニョニャ料理はもちろん、日本食、フレンチ、イタリアン、トルコ料理など中東の料理まで、世界中の食が集まっている。

世界中の食が豊富

マレーシアでのあいさつに「もうご飯食べた?」というのがあるが、これはもともと中国人の一般的な挨拶「吃飯了嗎?」からきている。しかし、クアラルンプールほどその言葉がしっくりくる街はないだろう。屋台や町のレストランで食べれば1食あたりひとり300円もあれば食べられる。ただしイスラム教のお国柄ゆえ酒類はめっぽう高く、スーパーで日本酒の5合サイズを買うと2000円以上する。

世界中の料理が食べられてしかも安いため、クアラルンプールでの食は外食中心にしたおふがリーズナブルだが、たまには日本の家庭の味が恋しくなることもあるだろう。そんな時にはイオンや伊勢丹など日系スーパーに足を運ぶといいだろう。

現地のひとの食費はどのくらい?

クアラルンプールでの食の費用

クアラルンプールでの食の費用の続き出典:JETRO クアラルンプールスタイル

クアラルンプールでの長期滞在費用~医療費

マレーシアの平均寿命は飛躍的に伸びている

マレーシアが独立を果たした1957年、マレーシアの平均寿命は男性56歳、女性58歳であった。その頃の日本は昭和32年、平均寿命は男性63歳、女性67歳だった。それが2012年にはマレーシアの男性71歳、女性76歳に。男性80歳、女性86歳でそれぞれ世界第2位と1位の日本には及ばないが、寿命は飛躍的に伸びている。

マレーシアの平均寿命

参考:Google

喫煙率が高い

マレーシアでは東南アジアの発展途上国に多い感染症は減少し、かわりに生活習慣病が増えている。データによればマレーシアの成人は4割が肥満、3割が高血圧、およそ1割が糖尿病を患っているといわれており、皮肉なことに、これもマレーシアの先進国化が進んだ証しといえるだろう。クアラルンプールでは日本と同じく公共の場は禁煙となっており、煙草のパッケージには健康を害することへの警告写真が義務付けられている。

それもそのはず、マレーシアでは死因の第2位が呼吸器の疾患によるものだからだ。マレーシア男性の喫煙率は43%で世界第30位というデータもある。マレーシアの煙草のパッケージには実に恐ろしい写真が印刷されているので、たばこをやめてもらいたい人がいるならマレーシアの煙草をおみやげにするといいかもしれない。

出典:Youtube

医療体制の充実

マレーシアは外国人の受け入れに積極的なだけに、医療体制も充実しており、クアラルンプールには日本語対応可能な病院、クリニックが多数ある。マレーシアの日本大使館ホームページにも医療機関の情報が掲載されているので確認しておきたい。

クアラルン プール周辺地域の医療施設事情

クアラルンプール周辺地域に在留される邦人の 皆様が、万一、事故や急病などの際に必要な医療措置を受けられる病院・施 設等についての情報を、ご参考までに、救急車、国・公立病院、民間系(私立)医療施設(総合病院・医院)、歯科医の順に掲載します。お気づきの点がござい ましたら大使館領事部までご連絡下さい。

大使館領事部:03-2177-2600(内 線147

出典:在マレーシア日本国大使館ホームページ

KLCCから車で15分ほどの名所にあるモントキアラは、高層コンドミニアムが立ち並ぶ高級住宅街で、多くの外国人が住んでいる。なかでも日本人は多く、日本人街とよばれるほどだ。現在もコンドミニアムの建設が進むこのモントキアラには、まさに日本人向けのクリニックも続々と開業している。

日本人向けのクリニック出典:ひばりクリニック

森のまちクリニック出典:森のまちクリニック

2015年、モントキアラに開院した両クリニックは総合診療科、いわゆる「かかりつけ医」として、最初に患者を診療するクリニックであり、さらに専門的な診断が必要な場合は総合病院への紹介をしてくれるという。まさに日本における地域医療連携をひな型にしたスタイルといえるだろう。また、旅行保険にも対応しているので、短期滞在中の受診であれば保険の範囲でキャッシュレス対応も可能という。

医療機関で受診する際の注意

マレーシアで医療機関を利用する際に注意したいことは、国公立病院はマレーシア国民を対象としているので、外国人の診療費は高いうえに対応があまりよくない。もちろん日本語での対応もほとんど望めないだろう。対する私立病院では、日本で健康保険の適用を受けるほどではないが、国公立病院よりはるかに安く受診できる。

MM2Hプログラムで長期滞在ビザの発給を受けた場合は、入国に際して健康診断を行い、医療保険に加入することが義務付けられている。最低でも1年間は保険に加入しなければならないが、保険料は少なくとも15万円程度は必要だろう。

まとめ

クアラルンプールでの長期滞在費用~合計金額はいくら?

MM2Hクアラルンプールに長期滞在するならば、住宅を購入する場合、渡航費用等を含めて最低でも3000万円くらいは必要だろう。

賃貸の場合でも700~1000万円くらいは見込んでおく必要がある。年間の滞在費は賃貸の場合で300~500万円くらいは見ておきたい。どうだろうか。リタイア後にクアラルンプールで悠々自適の生活を送るのは意外にハードルが高いかもしれない。

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