9年連続NO1!マレーシアロングステイ事情完全攻略法

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一般財団法人ロングステイ財団の調査によると、ロングステイの希望国ナンバーワンは2006年から9年連続でマレーシアでした。

その理由として、同財団では「マレーシア・マイ セカンド ホーム・プログラム(MM2H)」の充実、気候、治安、医療水準の高さを上げていますが、果たしてマレーシアは本当に長期滞在に適した国なのでしょうか。

9年連続でマレーシア

マレーシアのルーツは15世紀に成立したマラッカ王国で、伝説ではインドに遠征したギリシアのアレキサンダー大王の子孫が、シンガポールを経由してマレー半島に移り住み建国したとされています。当時、中国大陸を支配していた明の朝貢国であり、海運交易で栄えたイスラム教国でした。

ロングステイをしたい希望国として「マレーシア」が9年連続1位に選ばれました

出典:ロングステイ財団

しかし、16世紀にはいるとポルトガルに占領され、17世紀にはいると今度はオランダに占領されてしまいます。18世紀には隣国シャム(現在のタイ)から攻撃を受け、その混乱のさなか、イギリスによってペナン島、そしてマラッカ本体も占領されてしまい、19世紀にマレーシアの前身であるイギリス領・マラヤが成立します。

その後、太平洋戦争の際には、日本の敗戦により戦争が終結するまで日本軍によって占領されていました。しかし、当時の日本軍はイギリスの植民地とされていたマレーを開放する、というスローガンを掲げており、マレー人の多くから支持を集めていました。戦後、イギリス領マラヤが連邦として独立すると、いち早く日本と国交を樹立しています。

ルック・イースト政策で急成長

こうして、ようやく植民地から解放されたマレーシアは、1981年に就任したマハティール首相の「ルック・イースト政策」によって急速に工業化、経済発展を遂げていきます。「ルック・イースト政策」とは、個の利益より集団の利益を優先する日本人の倫理観や勤勉さに学び、西洋式の行き過ぎた個人主義が蔓延していたマレーシアのビジネス界や経済界に方向転換を促すものでした。

特に国産車については日本の三菱自動車やダイハツ工業と提携し、国内に6割のシェアを占めるだけでなく、他のアジア諸国やヨーロッパにも輸出するに至っています。こうした背景から日本への好感度は高く、2014年の調査では実に回答者の75%が「日本が好き」と答えています。こうした親日国としての雰囲気がロングステイ先の順位にも表れているのかもしれません。

食料品へのハラールの制限はゆるい

マレーシアは人口の6割がマレー系、3割が中華系、1割がインド系の民族で構成されています。マレーシアは国教をイスラム教徒定めており、マレー系住民の多くがイスラム教ですが、中華系は仏教、インド系はヒンドゥー教、さらにイギリス統治時代の名残からか、キリスト教徒も存在しています。このため、他のイスラム国家と違いレストランや食料品に対するハラールの制限はゆるく、豚肉も酒も普通に手に入ります。

他の東南アジア同様、町には食べ物の屋台がたくさんあり、マレーシア独特の料理も多くあります。ナシゴレンは有名ですが、バクテーという骨付き肉のスープもマレーシア独特の料理として人気です。

ナシゴレン

ナシゴレン

バクテー

バクテー

日本人の長期滞在は割高になる

マレーシアの通貨はリンギットといい、MYRまたはRMと表記されます。現在のレートでは1リンギットが30円弱くらいで、平均的な世帯収入は10~15万円程度ですが、物価が日本より安いため、現地の人々は十分に暮らせる収入と言えるでしょう。

日本人向けのレストランは高額になる

ただし、日本人が長期滞在するためには住居費が現地の住人より割高になること、日本食や日本人向けのレストランでは日本で食べるよりも割高になります。またイスラム教の国がらもあり酒類の価格は日本よりもかなり高く設定されています。夫婦二人での生活費は10万円くらいが目安となります。

ロングスティの生活事情

出典:マレーシア政府観光局ホームページ

住居費用はおおよそ日本円で10万円程度

気になる住居費用ですが、日本に比べれば安いものの、コンドミニアム形式のサービスレジデンスやマンスリーマンションなどで光熱費やインターネットなどの通信費を含めると10万円くらいは考えておいたほうがよいでしょう。また、マレーシアも首都クアラルンプールなど場所によってはひどい交通渋滞が慢性化しており、バスやタクシーでの移動がままならない場合も少なくありません。ロングステイの場合には移動のために利用できる交通機関も住居選びには重要なポイントです。

クアラランプールの住居費用

出典:グリーンフィールド。プロパティズ

なお、これはマレーシアに限りませんが、東南アジア諸国では熱帯性気候のため1年を通じて気温が高く、バスタブにつかる習慣がありません。お湯を使う習慣もあまりありませんので、ところによってはバスタブだけでなくシャワーからお湯が出ない物件もあります。また、屋台など外食費が安いため南国では自宅で料理をしない家庭が大半で、キッチンにコンロなど調理器具がないこともあります。水回りとキッチンは事前によく確認しておきましょう。

冒頭のロングステイ財団による調査ではロングステイ希望国の人気の秘密に「マレーシア・マイ セカンド ホーム・プログラム(MM2H)」の充実を挙げていましたが、MM2Hとはどのようなプログラムなのでしょうか。

通常、マレーシアは観光や商用で滞在する場合、90日間はビザが不要です。しかし、近年はリタイア後に海外への移住やロングステイを希望する人が増えており、長期滞在が静かなブームとなっています。マレーシア政府ではこうした長期滞在希望者に対し、一定の条件を満たせば10年間滞在名ビザを発行しており、マレーシア・マイ・セカンドホーム・プログラム(MM2H)と呼んでいます。

ロングスティの形態と滞在可能な期間

MM2Hは申請条件そのものに大きな制限があるわけではなく、日本人ならだれでも申請することが可能です。

MM2Hの申請条件

しかし、申請時には収入や資産など経済的な証明が必用であり、かつマレーシア国内に預金口座を開設しなければなりません。この預金はいわば保証金のようなもので、かんたんに引き出せないよう決められています。しかも、経済的証明の預金額や収入については、自宅のローンや子供の養育・教育費に収入のほとんどを投じてきた一般の年金受給者にはかなり厳しいものとなっています。

経済的証明

出典:マレーシア政府観光局ホームページ

仮に、現在はMM2Hの経済証明を満たせたとして、10年後に延長が可能かどうか考える必要があります。経済発展著しい東南アジアにおいてさらに「経済の優等生」といわれるマレーシアは、マハティール首相当時すでに2020年に先進国入りを果たすという目標を掲げ、実際に2015年のひとりあたりのGDPは約1万ドル、現地経済は右肩上がりを続けています。

一人あたりの名目GDPの推移

一人あたりのGDP(USドル)の推移

一人あたりの購買力平価GDP(USドル)の推移

出典:世界経済のネタ帳

この調子でいくと、もし現在MM2Hでマレーシアに移住したとして今後10年間の物価上昇率を考えると、ロングステイに必要な費用も右肩上がりに増えていくでしょう。また、MM2Hの基準自体も変化がないとは考えにくく、10年後にビザを延長できるかどうか心配になります。

マレーシアでは資金的に余裕がないとキツイ

このように経済発展著しいマレーシアですから、10年住んだのち日本に帰国して再び日本での生活を営むだけの経済的余裕があるかどうかも、事前によく検討しておいたほうがいいでしょう。ロングステイ先として人気ナンバーワンのマレーシアですが、本当の意味で長期滞在するためには富裕層とまではいかずとも、かなり資金的に余裕のある人でないと、後悔することになるやもしれません。

気候、治安、医療の充実はどうか?

ロングステイ財団はマレーシアのロングステイ人気の秘密についてMM2Hのほかに、気候、治安、医療の充実を挙げていますが、マレーシアの気候は熱帯性の気候で、1年を通じて温暖ないわゆる常夏の国です。衣料品は1年を通して軽衣料で過ごせるため、そこそこ高給なレストランでも短パンにサンダル履き入れるなど、衣料にかかる費用は少なくて済みます。

マレーシアの気候

出典:地球の歩き方

感染症等の病気に気をつけなければならない

しかし、熱帯性の地域には日本では見られない感染症が未だに多く発生しています。厚生労働省ではマレーシアにおいて気をつけるべき病気として、魚介類から感染するA型肝炎や腸炎ビブリオ、野菜や飲み水によるコレラ、赤痢、腸チフスなどを挙げています。また、サラワク州やサバ州のあるボルネオ島の森林ではマラリアや日本脳炎の感染リスクがあります。

しかし、現在最も気をつけなければならないのは蚊によって感染するデング熱と、デング熱によく似たチクングニア熱、そして昨年ブラジルから始まり瞬く間に南米全域へと広がったジカ熱もマレーシアでの流行が懸念されています。特にデング熱は2016年2月時点で感染者が16,000人近くも確認されており、最も感染の多いセランゴール州では12人の死者が出ています。

最も怖いデング熱

デング熱を引き起こすデングウイルスには4つのタイプがあり、最初に感染したタイプのウイルスに対しては終生免疫を獲得しますが、2度目に異なるタイプのウイルスに感染すると重症化しやすくなります。デング熱には有効なワクチンがなく、治療は対症療法に限られます。最善の治療は、蚊に刺されないようにして感染を予防することです。

医療機関は充実している

不幸にして滞在中に病気になってしまった場合、クアラルンプールであれば医療機関は充実しており、比較的安心して受診することができます。ただし、国公立病院は私立病院に比べて医療費が高額です。私立病院も決して安くはありませんので、傷害保険の加入は必須です。救急車は国公立病院への搬送専門、私立病院の専属、救急車専門会社の3種類がありますが、日本の119番に相当する「999」で呼ぶ救急車はすべて国公立病院へ搬送する救急車です。

外国人の受診は高額になる

ただし、国公立病院は基本的にマレーシア人を対象としているため、外国人が受診することを前提としていません。外国人の受診者からは、処置が遅く高額の医療費を請求されるとの苦情があるうえに、マレーシア人に比べて高額な医療費が設定されています。

マレーシアの日本大使館ホームページを利用する

民間の病院、クリニックなども医療費は高めですが、医療設備も良く外国人の対応に慣れています。医療施設によっては日本語で対応可能なところもあります。マレーシアの日本大使館ホームページに医療機関の一覧と救急車の呼び方について情報が掲載されています。

クアラルンプール周辺の医療施設事情

出典:在マレーシア日本大使館ホームページ

まとめ

マレーシアはマレー系、中国系、インド系の多民族国家であり、英語を共用語としているので、片言でも英語が話せれば生活する上で困ることはないでしょう。ロングステイ財団が挙げている通り、諸外国の中では治安も良く衣料も充実しています。

しかし、「東南アジアの優等生」と呼ばれ、躍進著しいマレーシアだからこそ今後の物価上昇も心配されます。ロングステイ人気ナンバーワンではありますが、長期滞在するにはそれなりに難しさもあることを覚悟しておいたほうがいいでしょう。

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