人気のロングステイ先を徹底チェック!どこに行きたいですか?

海外ロングステイを計画する場合において、最も大切なのはロングステイをする国選びです。そこで、最新のロングステイ希望国人気ランキングをもとに、どの国を選ぶべきか項目別に比較検討してみたいと思います。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

近年、定年後のセカンドライフとして海外に長期滞在するロングステイが人気を呼んでいます。ロングステイとは、通常の旅行と違って1か所に2週間以上滞在する「長期滞在型」の旅行を指しており、訪れた土地での生活体験を楽しむことを目的としています。

「ロングステイ」という言葉は”財団法人ロングステイ財団”による造語ですが、その原型は日本がバブル期に向かいつつあった1986年、当時の通商産業省(現在の経済産業省)が、定年退職後の第2の人生を物価の安い海外のリゾートで過ごせるように、日本人居住地を国主導で整備しよう、と構想した「シルバーコロンビア計画」です。

 

当時の経済状況はといえば、1985年にプラザ合意がなされ、それまで1ドル200円台だった円ドルレートは急激な円高が進行し、シルバーコロンビア計画が持ち上がった1986年7月には150円台に突入していました。急激な円高で輸出産業は大ダメージを食らい、あらゆる生産工場はこぞって日本国内から海外に脱出、人件費の安い中国や東南アジアに対して直接投資を行った結果、これらの国々は驚くべきスピードで経済発展を遂げることになります。

日本でのロングステイの発祥

それはさておき、「半額セール」とまで言われた円に対するドルの下落によって海外旅行ブームが巻き起こり、日本人はあらゆる国へと旅行に出かけ、企業は円高にものを言わせてアメリカの不動産を買いまくる。ついにはニューヨークのロックフェラービルやハリウッドの象徴であったコロンビア映画まで日本企業に買収されてしまいました。

 

そんな世相を背景に生まれたシルバーコロンビア計画ですが、この計画案が持ち上がると海外からは「日本はクルマや家電だけでなく老人まで輸出するのか」といった批判を浴び、国内からは「安心して老後の生活ができる環境を国内に整備するのが先ではないのか」「税金の無駄遣い」といった批判を受け、結局この計画はとん挫しました。

 

当初の計画ではスペインに200平米の一軒家を1千万円前後で購入、毎月の生活費は15万円程度で済むと考え、退職金と年金で十分リッチな生活が送れるだろうと目されていました。結局、内外からの批判に屈する形でこの計画はとん挫したのですが、その数年後にはバブル経済が崩壊、日本は史上類を見ないデフレ時代に突入、皮肉なことに退職後の生活を海外で、という構想自体が不要となったのでした。

 

しかし、バブルの崩壊よりも先にシルバーコロンビア計画はとん挫、目的を「海外移住」から「海外で余暇を過ごす機会を拡充」することに方向転換し、1987年に「海外滞在型余暇研究会」が設置されました。この研究会が1992年に改組される形で、財団法人ロングステイ財団が設立されました。

人気ロングステイ先の昔と今

1992年といえば、まだバブルの余韻が残っていた時期でもあり、当時のロングステイ希望国は以下のような順位でした。

1位 ハワイ

2位 カナダ

3位 オーストラリア

4位 アメリカ西海岸

5位 ニュージーランド

6位 スイス

7位 イギリス

8位 フランス

9位 スペイン

10位 アメリカ東海岸

 

全10カ国すべてが、北米、オセアニア、ヨーロッパで占められています。この頃はバブル景気のころに海外旅行でなじみの深い国が好まれていたようで、ロングステイ希望国はあこがれも含めてこれらの国々が選ばれていたようです。しかし、2000年代に入ると躍進著しい東南アジア諸国の人気が高まります。と同時に単なる夢やあこがれでなく、現実的に海外での長期滞在を計画する人々が増えてきました。

 

また、一定の資産を持ち、国内でのフロー収入が見込める外国人退職者に対して、長期滞在ビザを発給して外国人ロングステイヤーを積極的に呼び込もうとしている国もあります。現在では、リタイア後の経済状況や生活スタイル、家族とのかかわりなど、人それぞれの環境に応じた海外ロングステイを選択し、リタイア後の暮らしを充実させることが可能になってきました。

 

さて、そんな海外ロングステイを計画する場合において、最も大切なのはロングステイをする国選びです。そこで、最新のロングステイ希望国人気ランキングをもとに、どの国を選ぶべきか項目別に比較検討してみたいと思います。

 

ロングステイ財団による最新のロングステイ希望国ランキングトップ5は、

1位 マレーシア

2位 タイ

3位 ハワイ

4位 オーストラリア

5位 フィリピン

となっていますが、これらの国々を①物価、②言語、③治安、④医療の4項目で比較をしてみたいと思います。

人気ロングステイ先を徹底チェック

経済成長著しいが、まだまだ物価の安いマレーシア

<物価>

マレーシアは石油や天然ガス、ゴム、鉱物などの天然資源に恵まれ、かつ2020年に先進国入りを果たすというスローガンのもと、急速に近代化が進んでいます。また、リゾート開発にも力を注いでおり、観光資源の活用にも余念がありません。2015年のGDPは約2,963億ドルで、アジアでは香港に次ぐ36位、ASEANの中ではインドネシア、タイに次いで3番目の規模です。

 

通貨の単位はリンギット(MYR)で、2015年初めは1MYR=34円でしたが、原油価格の下落や欧米の金融情勢、中国経済の失速などから2016年初めには1MYR=28円まで下落しました。さらにトランプショックによる追い打ちからMYR安が進み、2016年11月28日現在、1MYR=25円程度まで下落しています。

 

日本ではバブル崩壊後、デフレが進み消費者物価指数もほぼ横ばいです。対するマレーシアでは経済の失速感はありますが、物価は上がり続けており2016年は115を超えると予想され、不動産価格を筆頭に物価の上昇が顕著に表れています。
malaysia-rate
出典:世界経済のネタ帳

 

かつて日本はアジアで最も物価の高い国でしたが、デフレが長く続くうちに他のアジア諸国が経済成長を遂げたため、逆転現象が起きています。マレーシアの消費者物価指数は年2%程度上昇していますが、インフレ経済の中にあっても食材の価格はあまり変わらないようです。不動産相場も右肩上がりに上昇していますが、現在はまだ日本よりもかなり安いといえるでしょう。

 

2016年10月に放送されたフジテレビのバラエティ番組「モシモノふたり」で、マレーシアの賃貸コンドミニアムが紹介されていましたが、家賃は日本円にして約7万5千円でプール付き120平米の3LDK の物件がありました。場所にもよりますが、おおよそ10万円以下でかなり良い物件を借りることができるでしょう。

 

また、マレーシアは東南アジア屈指の屋台大国で、食事を自炊+屋台で済ませれば夫婦二人1日1500円程度で済むでしょう。移動にはタクシーと都市型鉄道のMRTを利用しますが、タクシーは初乗り約80円、MRTは約20円~300円と交通機関はとても安く済みます。これらを考え合わせるとマレーシアでの1か月滞在費は、夫婦二人で15~20万円もあれば十分でしょう。

 

ただし、マレーシアはイスラム教国なのでお酒は日本で買うよりもはるかに高価です。また、和食レストランでの食事は日本で食べるのと変わらない値段です。この点に気を付ければ空前のリンギット安の今、物価の面でマレーシアはおすすめといえるでしょう。

 

物価を5段階評するならば、マレーシアは5、フィリピンは住居費が高く、セブ島で100平米を超えるコンドミニアムを借りる場合、15~20万円は覚悟しなければなりませんので、マレーシアよりも狭い物件にしなければならないでしょう。この点からフィリピンは4、タイ・バンコクもフィリピンと同様、家賃が高いので4、ハワイは3、物価の高いオーストラリアは2、ということになります。

 

ロングステイ物価ランキング

1位5点 マレーシア

2位4点 タイ、フィリピン

3位3点 ハワイ

4位2点 オーストラリア

 

日本語と片言の英語でOK!日本人を見ない日はないハワイ

<言語>

海外でロングステイをするときに問題となるのが言葉の壁です。英語が堪能ならいざ知らず、日本語と中学英語だけでロングステイを試みるなら、ハワイを置いてほかにはありません。ワイキキ周辺ならば、ほぼ日本語と英単語だけで暮らせます。ビーチにあるホットドッグの売店では店員さんがにこやかに「カラシ、ツケマスカ?」と気を使ってくれますし、レストランやスーパーでもまず困ることはないでしょう。

 

オアフ島と並んで人気のマウイ島でも、日本語を織り交ぜた片言の英語が意外に通じます。ハワイの人たちはみんな親切で、たとえ言葉はわからなくても一生懸命理解しようとしてくれますから、ボディランゲージでも通じるのではないでしょうか。オーストラリアのケアンズもハワイと同様に日本人観光客がとても多く、日本語が通じやすい土地といえるでしょう。

 

フィリピンは英語を公用語としていますので、英語が少しできればまず大丈夫。セブ島など日本人の多い観光地にあるレストランには、日本語対応可能なスタッフのいるお店があります。ただし、街中で日本語で話しかけてくるような相手には要注意。詐欺や強盗などの犯罪に巻き込まれる恐れがありますので、安易に会話などしないよう注意してください。

 

長く英国領だったマレーシアでは1967年まで英語が公用語でした。現在でも公用語に準ずる言語として大半の国民は英語を話すことができます。一方、タイには日本語はおろか英語を話せる人も少なく、街中ではタイ語以外はまず通じないと思ったほうがいいでしょう。

 

高級レストランや公共交通機関ではなんとか英語でコミュニケーションできますが、屋台やローカルレストランなどでは、英語がまるで通じないことも少なくありません。しかし、そこは「微笑みの国」、言葉は通じなくても相手の言いたいことは理解しようとしてくれます。

 

ロングステイ言語ランキング

1位4点 ハワイ、オーストラリア

2位3点 マレーシア、フィリピン

3位2点 タイ

 

楽園ハワイも実は安全じゃない?日本とは比べ物にならない各国の治安状況

<治安>

ハワイ、オーストラリア、マレーシアなどは比較的安全なイメージを持つ人が多いと思いますが、実はハワイといえどもアメリカの一部、その治安の悪さは日本とは比べ物になりません。

 

FBIの統計によれば2015年のハワイ州における犯罪の発生件数は、

殺人 19件(10万人あたり発生率:約1.34、日本0.83)

強姦 561件(同:約39.5、日本0.98)

強盗 1,203件(同:84.7、日本2.40)

傷害 2,418件(同:170.3、日本20.97)

となっています。

 

ホノルルの日本領事館では、「ハワイは他の州に比べて治安は良好」としながらも、市民が銃を所持していることについてはアメリカの他の州と変わりはなく、銃の新規登録は年間1万件前後となっていること、銃などの凶器を用いた強盗など凶悪犯罪は日常的に発生していると警告しています。

 

ちなみに、警視庁の統計によれば2015年の東京では、

殺人 102件(10万人あたり発生率:0.75)

強姦 179件(同:1.31)

強盗 399件(同:2.92)

傷害 3,204件(同:23.5)

であり、日本の治安の良さが群を抜いていることがよくわかります。楽園ハワイといえども、アメリカの一部であるということは肝に銘じておいてください。

 

今回挙げたロングステイ希望国上位5カ国の中で、最も治安の悪いのがフィリピンです。フィリピンの犯罪発生件数は年間約68万件で、このうち殺人事件は9,646件、強盗は31,741件発生しており、殺人事件は日本の約10倍、強盗の発生件数は日本の約13倍にものぼります。

 

フィリピンの犯罪の中でも特徴的なのが、身代金目的の誘拐事件の多さです。誘拐事件は年間数十件発生していますが、このうち外国人が誘拐された事件が10数件を占め、外国人を標的としたケースが多発しています。

 

フィリピンの犯罪では銃などの凶器が使われることが多く、これまでに日本人が犠牲となった殺人事件は、2008年8件、2009年3件、2010年5件、2011年1件、2012年5件、2013年1件、2014年5件、2015年3件と毎年発生しており、2011年からの5年間だけで15人が犠牲となっています。

 

ただし、フィリピンで殺人事件に巻き込まれた日本人の多くは麻薬の売買、暴力団関係者、フィリピン人の妻や内縁関係を持つ人など、フィリピン人との間でトラブルがあった日本人ばかりです。殺人事件を除けばフィリピンの犯罪発生率は欧米と比べても突出して高いというわけではありません。危険な場所に脚を踏み入れないよう行動を慎み、フィリピン人との間でトラブルを起こさないように気を付けていれば、事件に巻き込まれる確率は低くなるでしょう。

 

また、フィリピン南部のミンダナオ島にはイスラム過激派やイスラム系反政府組織が存在しており、爆弾テロや富裕層の誘拐事件などが頻繁に起こっています。ルソン島のマニラ首都圏でも2011年にバス爆破事件が、2012年と2013年にも市街地で爆発事件があり、2014年にはマニラ空港で爆発物を積んだ車両が摘発されるなどしています。2016年9月にもダバオ市で爆発事件が発生、国家非常事態宣言が発せられました。
philippines
出典:外務省海外安全ホームページ

 

そのほか、いわゆる美人局(つつもたせ)のような性犯罪、麻薬や違法薬物の売りつけ、いかさま賭博、にせ警官による強盗事件などが発生しており、フィリピン国内では犯罪に十分な警戒が必要です。

 

ロングステイ治安ランキング

1位-点 なし

2位3点 マレーシア、オーストラリア、ハワイ

3位2点 タイ

4位1点 フィリピン

 

日本と比較しても医療水準の高いオーストラリア

<医療>

ヨーロッパの多くの国やカナダでは医療費の公的負担や補助があり、ユニバーサルヘルスケアと呼ばれています。オーストラリアでは1984年からユニバーサルヘルスケアが達成されており、国民は医療機関の受診に公的補助を受けられます。オーストラリアは医療水準も非常に高く、最先端の医療機器や技術が導入されています。

 

オーストラリアではかかりつけ医から専門病院に紹介されるルールが日本よりも徹底されていますが、ケアンズやシドニーなど日本人移住者の多い地域では日本語対応可能なクリニックも多く、安心して受診することができます。

 

ハワイも医療水準は最先端であり、オーストラリア同様かかりつけ医からの紹介体制をとっています。日本語対応可能なクリニックはありますが医療費は非常に高額で、手術や集中治療室での治療などを受けた場合、1000万円を超すことも珍しくありません。

 

盗難アジアではマレーシア、タイの都市部が高い医療水準を維持しており、日本人対応の体制も整っています。フィリピンはマニラ首都圏と地方都市で医療格差が大きく、地方では施設の老朽化や衛生状態に問題があり、安心して受診できる環境にはありません。

 

ロングステイ医療ランキング

1位5点 オーストラリア

2位4点 ハワイ

3位3点 タイ、マレーシア

4位2点 フィリピン

 

いかがでしょうか。数日間の旅行と違い、数週間から数カ月、場合によっては1年以上の滞在もあり得るのがロングステイのいいところですが、その分、旅行に出かけるのとは違い、十分な準備や下調べが必要です。物価、言語、治安、医療、いずれをとっても日本は優れており、海外で暮らすにはそれなりの覚悟が必要だということよくが分かります。

 

海外に長期滞在してみると逆に日本の良さが見えてくる―それもまたロングステイの魅力のひとつかもしれませんね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。